『障害児を永続的に分離した特別教育の中止を』
国連の障害者権利委員会が、2022年、障害者権利条約を批准している日本に対して勧告し、話題になりました。
この話題に対する、特別支援学校教員の個人的な見解をまとめました。
特別支援学校教員の個人的な見解
当面の間は廃止されない。と思います。
最大の壁は、同年齢の集団構成
これを変えない限り前に進めない。
日本の教育システムで問題視されているのが、障害のある児童生徒が学ぶ場を、特別支援学校や特別支援学級などで、
『いわゆる健常児と障害のある児童生徒を分離して教育している』
という事です。
日本のインクルーシブ教育の課題
インクルーシブ教育の推進と謳われている現状では、特別支援学級に在籍する児童生徒が通常学級へ行き、交流及び交流学習を行っていますが、必ずしも有意義な時間にはなっておらず、ただただその場にいるだけ(お客さん状態)になっていることも少なくありません。特別支援学級担任経験者からすると、致し方ないなと思わざるを得ない事があります。通常学級の教育課程は、年齢に応じて固定されているため、多少の配慮はできますが、根本的にみんな同じを求められるからです。支援学級在籍の児童生徒からすると、何かよくわからないけど、とりあえずみんなと同じように書く、行動する、我慢する、ということになりやすく、交流学級には「行きたくない」という子がほとんどなのが事実。
特別支援学校に在籍する児童生徒は、副藉制度というものを活用して、地域の小中学校に通うことができるが、学期に数回程度になっているのが現状です。
交流及び共同学習は、通常学級に在籍する児童生徒にとって、多様な子と交流ができ、有意味なのは間違いないが、障害のある児童生徒本人にとって果たして有意味なのか?本人を置き去りにしていないか?と日本のインクルーシブ教育に疑問に感じることがよくあります。
また、通常学級にも支援を要する児童生徒が8.8%いるといると発表されました。同年齢で集団が組まれる日本では、みんな同じレベルを求められるがゆえに、教師は平均的な発達段階に応じて授業をすることになり、退屈してしまう子や、一方で周囲から遅れがちになり劣等感を抱きやすく、自尊感情が低下してしまう子もいます。少人数指導なども進められてはいますが、まだまだ個に応じた指導は行き届いていないのが現状です。
諸外国との比較
日本の教育システムは、根本的には戦前からほとんど変わっておらず、同じ年齢の子は同じ教育を受け、同じレベルを求められます。一方、諸外国では年齢にとらわれず、飛び級や、原級留置(留年)もあります。
ニュージーランドを例に挙げると、初等中等教育の十三年間に学ぶレベルを八つに分割し、同学年でも複数のレベルが設定され、グループ別で授業を受けられます。つまり、自分に合った学習環境を選択できる幅が、日本と比べてはるかに広いのです。
日本が変わるべきところ(私見)
- 飛び級を認める
- 同年齢での集団構成をやめる
- 日本の学校全てを現在の特別支援学校のように、より近い発達段階同士の子が共に高め合える学習環境を整える。(理想)
- 多様な学び方の児童生徒が交流できる機会を設ける
私が描く未来
私が描く未来は、
特別支援学校・特別支援学級の廃止
ではなく、
通常学級の廃止
です。
「みんな違って当たり前」「個性を大切に!」
と言いつつ、みんな同じことを学ばせる日本の教育システムに違和感を感じています。
多様な学びの環境を整え、
自分に合った環境を
もっと自由に選択できる
多様な人材がのびのびと成長し、
どんどん活躍していける
そんな社会をつくりたい!
教育にもっとお金をかけましょう!
それは未来の日本への投資です!
最後まで、ご愛読ありがとうございました。
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